先天的な高度難聴児は、国内で毎年1,200人程度産まれると推定され、3歳頃までに人工内耳などの埋め込み型聴覚機器(聴覚インプラント)を装用すれば、話したり聞いたりすることが通常の人と同様にできると言われています。現在の聴覚インプラントは、海外製品が多く、音質が劣る場合もあると言われており、さらに高機能小型の国産製品が望まれています。
この研究では、補聴器や人工内耳の利用が困難な人でも聴知覚が得られる新たな聴覚インプラントの小型集積化技術を開発します。そのために、聴覚の中枢神経系の機能を代替できる、従来法とは異なる装置を目指しています。
生体内の細胞の機能を模擬して音の振動を増幅する微小な機械部品を開発します。機械部品の集積化技術と半導体技術を応用して、聴覚インプラントを作製します。特に、神経細胞の研究で培ってきた微小な信号を増幅する装置と細胞を電気刺激する技術を応用します。
この研究では、上記の聴覚インプラント技術を開発し、未来を担う幼年・若年難聴者に聴知覚の正常な発達を促すための基盤技術を作ります。そして、海外製品が多くを占める日本の現状で、将来的に本邦発の医療機器を提供することを目指します。