西川 淳 (にしかわ じゅん)
北海道大学
大学院情報科学院/研究院 情報科学専攻
生体情報工学コース/生命人間情報科学部門
バイオエンジニアリング分野
神経制御工学研究室 准教授
研究室のHP: https://tt-lab.ist.hokudai.ac.jp/
E-mail: jun-nishikawa AT ist.hokudai.ac.jp
講義情報(Lecture Infomation)
研究概要
脳の情報処理原理を知りたい.そのために微細加工技術および生体信号計測技術を駆使し,脳内情報処理を担っている神経細胞の電気的活動を高密度に測定・制御することのできる次世代デバイスの開発に取り組んでいます.また,これを活用して,主に齧歯類の大脳皮質聴覚野の聴覚情報表現を明らかにする研究,様々な聴覚現象を支える神経活動を特定する研究,学習に伴う神経活動の変化とそのメカニズムを明らかにする研究,埋め込みデバイスによる神経活動制御を目指した研究などを進めています.計測した脳活動を数理モデル化し,背後に隠れる計算原理を解き明かそうとする研究も行っています.このように,ナノテクノロジーや数理科学を神経科学と統合することにより,神経科学分野でブレイクスルーを起こすとともに,将来的には神経疾患を抱える患者を救うことのできる新しい医療機器の開発へと繋げたいと考えています.
学歴・職歴
- 1994年(平成6年) 3月 愛知県立旭丘高校 卒業
- 1995年(平成7年) 4月 北海道大学 工学部 物理工学系 入学
- 1999年(平成11年) 3月 北海道大学 工学部 応用物理学科 卒業
卒業論文「電気回路系におけるフラクタル遷移の実験的検証」(指導教官:郷原一寿)
- 1999年(平成11年) 4月 北海道大学 大学院 工学研究科 量子物理工学専攻 修士課程入学
- 2001年(平成13年) 3月 北海道大学 大学院 工学研究科 量子物理工学専攻 修士課程卒業
修士論文「切り換え入力による電気回路系のフラクタル応答」(指導教官:郷原一寿)
- 2001年(平成13年) 4月 北海道大学 大学院 工学研究科 量子物理工学専攻 博士後期課程入学
- 2004年(平成16年) 3月 北海道大学大学院 工学研究科 博士後期課程修了 博士(工学)の学位取得
博士論文「連続-離散混合力学系におけるフラクタル集合」(指導教官:郷原一寿)
- 2004年(平成16年) 4月 独立行政法人理化学研究所 脳科学総合研究センター
生物言語研究チーム 研究員 (所属長:岡ノ谷一夫)
- 2009年(平成21年) 4月 独立行政法人理化学研究所 基礎科学特別研究員
受け入れ研究室: 生物言語研究チーム (所属長:岡ノ谷一夫)
- 2011年(平成23年) 4月 独立行政法人理化学研究所 基礎科学特別研究員
受け入れ研究室: 情動情報連携研究チーム (所属長:岡ノ谷一夫)
- 2011年(平成23年) 7月 大阪大学 大学院生命機能研究科
マイクロシステム神経工学研究室 特任助教 (所属長:舘野高)
- 2011年(平成23年) 12月 北海道大学 大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
生体計測工学研究室 特任講師 (所属長:舘野高)
- 2013年(平成25年) 11月 北海道大学 大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻
生体計測工学研究室 准教授 (研究室名変更・組織改編により現職)
業績リスト
- Jun Nishikawa, Yuto Ohtaka, Yuishi Tachibana, Yasutaka Yanagawa, Hisayuki Osanai,Takeaki Haga, and Takashi Tateno,
"Flavoprotein fluorescence imaging-based electrode implantation for subfield-targeted chronic recording in the mouse auditory cortex,"
Journal of Neuroscience Methods, Vol. 293, pp. 77-85, (2018).
- Masanari Noto, Jun Nishikawa, and Takashi Tateno,
"An analysis of nonlinear dynamics underlying neural activity related to auditory induction in the rat auditory cortex,"
Neuroscience, Vol. 318, pp. 58-83, (2016).
- Takashi Tateno and Jun Nishikawa,
"A CMOS IC-based multisite measuring system for stimulation and recording in neural preparations in vitro,"
Frontiers in Neuroengineering, 7:39. doi: 10.3389/fneng.2014.00039, (2014).
- Takashi Tateno, Jun Nishikawa, Nobuyoshi Tsuchioka, Hirofumi Shintaku, and Satoyuki Kawano,
"A hardware model of the auditory periphery to transduce acoustic signals into neural activity,"
Frontiers in Neuroengineering, 6:12. doi: 10.3389/fneng.2013.00012, (2013).
- Jun Nishikawa and Kazuo Okanoya,
"Cantor coding of song sequence in the Bengalese finch HVC,"
Advances in Cognitive Neurodynamics (III), Y. Yamaguchi (ed.), Springer, pp. 629-634, (2012).
- Kentaro Katahira, Jun Nishikawa, Kazuo Okanoya, and Masato Okada,
"Extracting state transition dynamics from multiple spike trains using hidden Markov models with correlated Poisson distribution,"
Neural Computation, Vol. 22, No. 9, pp. 2369-2389, (2010).
- 西川淳,
"機能的ネットワークの可視化によって探る時系列処理を司る局所神経回路メカニズム,"
生物物理, Vol. 50, No. 3, pp. 134-135, (2010).
- 西川淳, 高橋美樹, 加藤真樹, 岡ノ谷一夫,
"言語起源研究のためのモデル動物:ジュウシマツ,"
生体の科学, Vol. 61, No. 1,pp. 30-40, (2010).
- Kentaro Katahira, Jun Nishikawa, Kazuo Okanoya, and Masato Okada,
"Extracting State Transition Dynamics from Multiple Spike Trains with Correlated Poisson HMM",
Advances in Neural Information Processing Systems, Vol. 21, pp. 817-824, (2009).
- Jun Nishikawa and Kazutoshi Gohara,
"Automata on fractal sets observed in hybrid dynamical systems,"
International Journal of Bifurcation and Chaos, Vol. 18, No. 12, pp. 3665-3678, (2008).
- Jun Nishikawa, Masato Okada, and Kazuo Okanoya,
"Population coding of song element sequence in the Bengalese finch HVC,"
European Journal of Neuroscience, Vol. 27, No. 12, pp. 3273-3283, (2008).
- Jun Nishikawa and Kazutoshi Gohara,
"Anomaly of fractal dimensions observed in stochastically switched systems,"
Physical Review E, Vol. 77, No. 3, pp. 036210-1 - 036210-8, (2008).
- Jun Nishikawa, Masato Okada, and Kazuo Okanoya,
"Population coding of song element sequence in the songbird brain nucleus HVC,"
Lecture Notes in Computer Science, Vol. 4984, pp.54-63, (2008).
- 高橋美樹,西川淳,岡ノ谷一夫,
"鳥のさえずりとヒトの言語: 共通性の生物学的基盤,"
生物科学, Vol. 59, No. 2,pp. 77-84, (2007).
- 西川淳,岡ノ谷一夫,
"小鳥の複雑な歌系列生成と学習を支える神経機構,"
日本神経回路学会誌, Vol. 14, No. 2, pp. 79-93, (2007).
- Jun Nishikawa and Kazuo Okanoya,
"Dynamical neural representation of song syntax in Bengalese Finch: a model study,"
Ornithological Science, Vol. 5, No. 1, pp. 95-103, (2006).
- 西川淳、岡ノ谷一夫,
"小鳥の歌学習の神経回路は?,"
Clinical Neuroscience, Vol. 24, No. 5, p. 609, (2006).
- 関義正、西川淳,
"鳥の歌学習と誤差修正機構,"
生物の科学 遺伝, Vol. 59, No.6, pp. 44-48, (2005).
- Kazutoshi Gohara and Jun Nishikawa,
"Fractals in neurodynamics - from hybrid dynamical systems point of view,"
Artificial Life and Robotics, Vol. 7, No. 4, pp. 189-192, (2004). - Jun Nishikawa and Kazuo Okanoya,
"Fractal-like neural representation in the songbird forebrain,"
Proceedings of International Symposium on Nonlinear Theory and its Applications (NOLTA), pp. 287-290, (2004).
- Jun Nishikawa and Kazutoshi Gohara,
"A hybrid dynamical system as an automaton on the fractal set,"
Proceedings of International Joint Conference on Neural Networks (IJCNN), pp. 825-830, (2003). - Jun Nishikawa and Kazutoshi Gohara,
"Fractals in an electronic circuit driven by switching inputs,"
International Journal of Bifurcation and Chaos, Vol.12, No.4, pp. 827-834, (2002).
- Kazutoshi Gohara and Jun Nishikawa,
"Correlation dimension of dissipative continuous dynamical systems,"
Emergent nature- Patterns, Growth and Scaling in the Sciences,
M.M. Novak ed., World Scientific, New Jersey, pp.403-410, (2002).
- Roichi Wada, Jun Nishikawa, Kazutoshi Gohara, and T. Okuda,
"Fractals and closures in Hybrid Systems,"
Proceedings of the 4th International Conference Automation of Mixed Processes: Hybrid Dynamical Systems (ADPM), pp. 93-97, (2000).
競争的資金
- 2018年4月~2020年3月(3年間)
文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般)
「聴覚皮質における多点電気刺激による耳鳴り抑制法の基盤技術開発」
(研究代表者:西川淳,課題番号:18K07345)
総額350万円(120万円/2018年, 120万円/2019年,110万円/2020年) - 2015年4月~2018年3月(3年間)
文部科学省 科学研究費補助金 基盤研究(C)(一般)
「閉ループ電気生理による神経活動ダイナミクスのフィードバック制御」
(研究代表者:西川淳,課題番号:15K01847)
総額380万円(180万円/2015年, 130万円/2016年,70万円/2017年) - 2014年7月~2015年3月(9ヶ月)
北海道大学 大学院情報科学研究科 若手研究費
「マイクロデバイスと制御工学を駆使した神経活動の精緻な制御: 神経制御工学の勃興」
(研究代表者:西川淳)
総額50万円(50万円/2014年) - 2014年3月~2015年2月(1年間)
公益財団法人 大川情報通信基金 研究助成
「加齢にに伴う聴覚機能低下を自律的に補償する人工聴覚スマートインプラントの研究」
(研究代表者:西川淳)
総額100万円(100万円/2014年) - 2013年8月~2014年3月(1年間)
ノーステック財団「研究開発助成事業」若手研究人材・ネットワーク育成補助金(Talent補助金)
「加齢における聴覚の機能低下機構とその補償機器開発の基礎研究」
(研究代表者:西川淳)
総額40万円(40万円/2013年) - 2013年4月~2014年3月(1年間)
公益財団法人 立石科学技術振興財団 研究助成(A)
「聴覚中枢神経マイクロインプラントに応用する音情報神経符号化の基礎技術開発」
(研究代表者:西川淳)
総額250万円(250万円/2013年) - 2012年4月~2014年3月(2年間)
文部科学省 科学研究費補助金 挑戦的萌芽研究
「マウスの超音波発声とその認知を司る神経機構の解明」
(研究代表者:西川淳,課題番号:24657054)
総額310万円(150万円/2012年, 160万円/2013年) - 2010年4月~2012年3月(2年間)
文部科学省 科学研究費補助金 新学術領域研究(伝達創成機構・公募班)
「時系列信号によるコミュニケーションを司る神経情報表現の解明」
(研究代表者:西川淳,課題番号:22120521)
総額920万円(460万円/2010年, 460万円/2011年) - 2009年4月~2012年7月(2年4ヶ月)
独立行政法人理化学研究所 基礎科学特別研究員 研究費
「複雑な時系列処理を支える局所神経回路におけるネットワークダイナミクスの解明」
(研究代表者:西川淳)
総額300万円(100万円/2009年, 100万円/2010年, 100万円/2011年) - 2008年4月~2010年3月(2年間)
文部科学省 科学研究費補助金 若手(B)
「音声時系列分節化を支える神経細胞集団の同期的活動」
(研究代表者:西川淳,課題番号:20700278)
総額340万円(180万円/2008年, 160万円/2009年) - 2006年4月~2008年3月(2年間)
文部科学省 科学研究費補助金 若手(B)
「複雑な時系列を産出する神経モジュール間の相互作用」
(研究代表者:西川淳,課題番号:18700303)
総額350万円(230万円/2006年, 120万円/2007年)
受賞歴
- 2010年度 包括脳ネットワーク 若手優秀発表賞 受賞。
"鳥類歌中枢HVCにおけるカントールコーディングのin vivoによる実験的検証" - 2009年度 日本神経回路学会 研究賞 受賞。
"鳥類歌制御神経核HVC局所回路における機能的ネットワーク" - 2008年度 日本生物物理学会 若手奨励賞招待講演者 に選出。
"多点同時記録によって抽出されたジュウシマツHVC局所回路における機能的ネットワーク" - 2008年度 日本神経回路学会 奨励賞 受賞。
"小鳥の脳神経核HVCにおける歌要素系列の集団符号化" - 2007年 Computational and Systems Neuroscience (COSYNE2007)にて、スポットライト発表に選出。
"Population coding of song element sequence in the songbird brain nucleus HVC."
(330件中10件採択、選出当時は会議開始以来日本人では2人目) - 1999年度 北海道大学工学部応用物理学科 応用物理学科賞 受賞。 (学部学生の成績優秀者として)
関連研究室
- (出身研究室)
北海道大学 大学院工学研究科 応用物理学専攻 生物物理工学研究室 (郷原一寿 教授)
(旧: 北海道大学 大学院工学研究科 量子物理工学専攻 非線形物理工学研究室) - (前所属研究室)
東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系 岡ノ谷研究室 (岡ノ谷一夫 教授)
科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 ERATO 岡ノ谷情動情報プロジェクト (岡ノ谷一夫 総括)
理化学研究所 脳科学総合研究センター 情動情報連携研究チーム (岡ノ谷一夫 客員チームリーダー)
(旧: 理化学研究所 脳科学総合研究センター 生物言語研究チーム) - (現属研究室)
北海道大学 大学院情報科学研究科 生命人間情報科学専攻 生体計測工学研究室 (舘野高 教授)
(旧: 大阪大学 大学院生命機能研究科 マイクロシステム神経工学研究室)